こんにちは、映像翻訳者のル・モンです。
技術の進化と共に、自動翻訳の精度もあがってきていますよね。
今後6Gになってよりスピーディに精度の高い機械翻訳あったら。。。とても便利で魅力的な一方で、せっかく英語学習を頑張っているのに、将来無駄になるのではないか?と不安になっている人もいるのではないでしょうか?
テクノロジーの進化でチラッと言われているいわゆる「英語不要論」について、個人的には賛成であり反対でもあります(笑)。
そして私は「どうせ英語学習しているなら迷わず上級レベルを目指しておいた方がいいよね」というスタンス。
今後は求められる英語力の質やニーズが変わってくると思うからです。
今回は「英語学習を頑張る意味はあるのか」について個人的に考えてみました。
【AI翻訳がある未来】それでも英語学習を続けるメリット3つ
そもそも、英語を学ぶこと自体がその国の文化や思考法なども知ることができる有益なものだとは思います。
ただ、AI翻訳の精度があがってくれば、今後は求められる英語力の質やニーズが変わってくると思うので、英語学習を無理に続けなくてもいい人と、続けるなら上級レベルを目指した方がいい人と別れる気もします。
英語学習不要の人
「自分は英語を使わなくても旅行先の文化を楽しみたい人」とか、「仕事では自分がキーパーソンで決定権を持っているが、英語はいつも誰かできる人に手伝ってもらう必要があり煩わしさを感じていた人」は、むしろ、精度が高いAI翻訳さえあれば、英語学習に無理に時間をさかなくてもいいかもしれません。
上級レベルまで英語学習を続けた方がいい人
仕事のメールや、シンプルな契約書のような使う表現がある程度決まっているものは、精度の高いAI翻訳なら、全く問題なく作業が進むと思います。
ここからはあくまでも主観ですが、日本は今後さらに海外に向けて「発信」していくことが増えると思っていて、AI翻訳も日本語から英語に翻訳する際に多用されると思います。
では、なぜ上級レベルまで英語力をあげた方がいいのか。
今後、求められる英語力は下記のようなスキルかなという感じがしています。
求められる英語力(日英翻訳の場合): AI翻訳を通した文章のニュアンスがこちらの意図したものと合っているのか、チェックして修正、追記できるくらいのレベルの英語力
さらに言えば、「伝えたい内容」だけでなく、「どう伝えるか」にもこだわった場合の表現力です。これを苦にせず、サクッとできるようになるには結構高い英語力が必要になってくると思います。
英語が好きで、英語学習を頑張っている人は多いと思うので、改めて学習を続けてスキルを高めるメリットを3つまとめてみました。
① AI翻訳を使いこなし、仕事が円滑&コミュニケーション力アップ。
② 映画や小説など、作家性が強い作品の表現は自分で解釈した方が楽しい。
③ 英語に限らず、言語学習は脳にいい。
詳しく見ていきます。
AI翻訳を使いこなし、仕事が円滑になる!
どんなツールにも言えることだと思いますが、結局、上手く使いこなせるかどうかはその人次第ですよね。
例えば、グーグルなどの検索エンジンでも、検索して調べたい内容を表す適切なワードを使ったり、別のアングルから調べるために入力方法を工夫しないと欲しい答えに辿り着かないことがあると思います。
それと同じで、仮にAI翻訳で日本語⇒英語で文章を書きたいのであれば、まずは英訳しやすいような日本語を入力する必要があります。
英語の文法知識を身につけた方が有利
そしてそのような文章構成を考えるには、英語の文法知識が入っていた方が有利なのです。
日本語でもっともらしく(笑)長々と丁寧に文章を書いても、いざ英訳してみると「結局何を言いたいの?」というパターンに陥ってしまうとか。。。
英語知識が高いと、最初からロジックが曖昧になりそうな表現は日本語でも避けて入力するなど、工夫ができると思います。
そして、読解力も必要です。
日本語では主語を省くことも多いので、勝手にhe や theyなどと判断されていたり、
細かいところでは、2つの国のことを書いていたのに国名がテレコになってしまっていて意味が全然変わってしまったり。
英訳された文章を読み返して、おかしなところはないか、自分が意図したこととニュアンスが違ったり、もっと別の単語を使って表現した方がいいところがないか、トーン(カジュアル、丁寧など)は適切か、などの判断は人間がやるべきところですね。
特にこの、ニュアンスや語彙に関してはある程度英語力が高くないと判断はできないと思います。
メールや会議において、海外とのスピーディな意思疎通を図れるので、とても便利なツールですが、やはり「使いこなす」レベルまで英語力があった方がそのサポート力を存分に享受できると思います。
逆に、ビジネスにおいては、基礎が固まっていない英語力では機械翻訳に取って代わられるケースもあるかもしれませんね。もし、英語を使った仕事をしている、これから始めたいと考えている人は文法などの基礎はしっかり固めて、AI翻訳も使いこなすことをイメージするといいと思います。
作家性が強い作品は自分で解釈できた方が楽しい!
映像や文学作品など作家性が強いものは、人間の翻訳でもどこか抜け落ちてしまうものです。
機械翻訳で瞬時に「意味」は分かったとしても、細かいニュアンスなど自分で理解できた方がエンタメとして面白いと思っています。
映像翻訳者である自分が言うのもなんですが、英語字幕にしろ日本語字幕にしろ、映像に載せることができる(ネイティブが読みきれる)量に合わせて字数制限があるので、全部のセリフを一語一句、翻訳できるものではないのです。
ドキュメンタリーでも、その人の言葉遣いなどそのまま受け取れると感じ方も違うかもしれません。
個人的に、洋画は吹替・字幕で選択するのであれば字幕にして、生の声を聴きたいタイプです。やっぱり、その俳優の演じ方などの表現方法も楽しみたいと思うからです。
字幕や吹替にのらない、ちょっとした一言がキャラクターを決定づける雰囲気を持っていたりして、自分で作品をまるごと自分なりに解釈できるってある意味贅沢なエンタメだな、と感じます。
言語学習は脳にいい!
英語に限らず、母国語以外の言語を学ぶことは脳に刺激を与えて将来、ボケにくいとも言われています。
2つ以上の言語を脳内でスイッチを切り替えるように、インプットとアウトプットを繰り返すことで、記憶する部分が鍛えられるというイメージです。
また、英語脳を鍛えることで、物事の見方も広がる側面もあります。物理的にアクセスできる情報源が広がるということもありますが、言語そのものが影響して思考方法も強化される気がします。
英語特有のロジックや日本語の持つ表現方法など、両方のいいとこどりのようなイメージです。私の場合は、英語力をあげることで逆に日本語表現に対する意識が高まりました。
常に考えるクセがつくので、ひょんなところで色んなものがリンクしてアイデアが生まれることもあります。
解釈力と翻訳力を試すには
冒頭に書いたように、アウトプット・インプットともに機械翻訳を使いこなすには英語力・日本語力ともに高い方が理想的です。文章・音声を「翻訳しやすいように」機械翻訳に入力するという物理的な「コツ」にも関係してきます。
仕事でも「伝えること」だけではなく「どう伝えるか」まで、意識できるレベルの英語力・日本語力は重宝されるのではないでしょうか。
同じ文章でも、解釈や表現には個人差が出ます。そのワードチョイスや語感、ニュアンスの違いなどで、その情報の受け手の印象も変わります。
この辺の微妙な感じを、自分で感じ取るには色々な翻訳ツールに文章を入力して見比べることをおすすめします。
日本語から英語にした場合は、その英語をまた日本語に翻訳してみることでダブルチェックでき、「意図したことと違う単語を使われていた」なんていうことも防げると思います。
また、アメリアのような定期的に開催されている誰でも参加できる、また評価できる翻訳コンテストというものに応募してみるのも面白いと思います。
自分で翻訳して、他の人の翻訳と比較することで「同じ情本源でも印象が違う」ことを体感でき、機械翻訳を使いこなすためのヒントになると思うのでおすすめです。
まとめ:AI翻訳の精度があがっても英語学習を続けるメリット
AI技術が進化して、機械翻訳の精度があがり、言語の壁を意識しないで世界中と繋がれたらと考えるとワクワクしますよね。
でも、個人的にはだからといって英語学習が不要になるとは考えていません。むしろ、英語学習を続けることはメリットがあると思います。
① AI翻訳を使いこなし、仕事が円滑&コミュニケーション力アップ。
② 映画や小説など、作家性が強い作品の表現は自分で解釈した方が楽しい。
③ 英語に限らず、言語学習は脳にいい。
以上、英語学習を頑張ってきて「この勉強は意味あるのかな?」と思っている人に、こういう考え方もありますよってことを書いてみました。

											
						
						
						
																	
						
						
						
																	
						
						
						
																	
						
						
						
																	
										
					
									