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【日英翻訳テクニック】英語ライティングに役立つ「スタイルガイド」2冊

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日本語から英語へ翻訳する時のコツってなんだろう?
ちぇしゃお
ちぇしゃお
ル・モン
ル・モン
ジャンルによっても注意することが色々ありそうだね。

こんにちは、映像翻訳者のル・モンです。

仕事柄、色々なジャンルの翻訳に携わります。

基本的に、英語は結果や主張が最初にくるという構造だし、日英翻訳は日本語の意図をいかに正しく相手に伝えるかがポイントになります。

原文の情報を正しく解釈し、適切なワードチョイスと表現方法で英語に変える。これには語彙力と文法知識が必須です。

でも、ジャンルによってその英語基礎力の運用方法、いわば「表現するスタイル」も多少違いがあるものです。

技術的な説明書の文章と、小説の文章は同じ言語でも雰囲気がだいぶ変わりますよね。

それと同じで、翻訳のトーンや表現も「適材適所」、TPOがあります

そこで今回は、その英訳の参考に役立った「スタイルガイド」を2冊ご紹介します。

全編英語ですが、シンプルな英語や箇条書きの部分もあるので英語の多読感覚で読んでも良いと思います。

【日英翻訳テクニック】英語ライティングに役立つ「スタイルガイド」2冊

スタイルガイドとは、いわゆるルールブックやマニュアルガイドのようなもの。出版物など、統一した単語の使い方、言葉遣いなどを規定する手引き書のことです。

オフィスで英語ができる人の中には、グローバル化に伴い、規模の大小にかかわらず英訳をお願いされる機会が増えている人もいるのではないでしょうか。

英語ができるから簡単に何でも翻訳できるかというと、そういう単純なものでもないですよね。特に技術的な内容などは、意味は伝わる英語だけど果たしてその英訳を文章として残しても大丈夫なのか?と感じてしまったり。

そんな時に「書き方」を教えてくれる本があると便利です。私が読んで勉強になったスタイルガイドは2冊あります。

1冊はそんな「読み手に伝わる英語の書き方」を参考にできる本

もう1冊は「ワードチョイスや表現のこだわり」が分かり、読解の参考にできる本

1冊ずつ見ていきます。

The Global English Style Guide

Global English Guide画像:Amazon

The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market  John R. Kohl (著)

6,114円 (Kindle 2,806円)

・ソフトウェア会社のシニアエディターを務めた著者による「国際共通語としての英語」のライティングに特化したスタイルガイド。

・英語非ネイティブの英語話者や、ネイティブにとっても表現の曖昧さを省き「簡潔でわかりやすい英語」を目指す。

・実例が豊富で、一貫性を保ちシンプルなライティングになるコツがわかる。

テクニカルな英文を書く必要がある人、日英翻訳を仕事にしている人は一読の価値がある本だと思います。

グローバルイングリッシュ」は、ノンネイティブ、ネイティブ関わらず、どんな相手にも理解できるように曖昧さを省き、シンプルに解析しやすい英語にするということです。

翻訳者や、機械翻訳ソフトを使う場合でもシンプルで分かりやすい英文を書く指標になります。

ハイコンテクストな日本語とは違い、英語は元々、who, what, when, where, which, howなど、主語や目的もきちんと表現されていないと意味が通じないことが多いです。

日本語のように、あえて言語化せずとも何となく通じる阿吽の呼吸やツーカーというのは、「曖昧な表現」が多くなるので、グローバルイングリッシュではすべての要素を「適切に」言語化し、工夫して配置=組み立てることで伝わる文章に翻訳する必要があります。

技術翻訳はまさにこれが大事!

エンタメ関連の英訳ならば、いわゆる欧米文化にハマる表現はどれかのようなことを念頭に訳文を練る場合があります。マーケットや題材次第ですが、基本的にやはり英語圏の英語を意識することも多いと思います。

でも、いわゆる英語ネイティブにしか伝わらない英語というのもダメな場合があります。

その内の1つが技術関連の翻訳です。

工場などで、ノンネイティブの従業員が機械を操作することをイメージしてみてください。

操作マニュアルの英語が、ネイティブならではのイディオムや文章構成だったらどうでしょうか?極端なことを言えば、文学的にどんなに美しい英文が書けたとしても、この場合は不適切で間違いなのです。

みんなでトレッキング行こうと言っているのにヒールを履いてくるような場違い感。

命を守る安全のためのガイドラインは特にシンプルに分かりやすく、瞬時に伝わるものでなくてはいけません。Please be aware that〜と表現するよりも、Do not 〜で「やってはダメ!」という文字が最初に目に入った方が良いのです。

仕事メールでも使える!

この本は何も技術翻訳だけに役立つというわけではなく、普段のメールにも応用がききます。

海外とメールのやり取りをしていてよく思うのですが、日本人が書く英文メールは丁寧なためか文章が長くなりがちな印象があります。

要点を先に言わず「なんでメールをするのか」の状況だけを長々と説明してからやっと本題に入るという人もいるよね。。。
ちぇしゃお
ちぇしゃお

英語は文法的にも文化的にも「要点は簡潔に」が基本です。

的をえない文章のメールはスルーされたり、相手の時間を奪ってしまい逆に失礼になる可能性もあるので気をつけたいところですね。

これは何も英語に限ったことではないですが…

このスタイルガイドで英語的思考が身につくことで日本語の文章の書き方もスッキリ分かりやすく書けるようになる気がします。

英訳をする時のポイント

Clear(明確)Concise(簡潔)Correct(正確)

リモートワークも広く浸透してきて、対面時よりもメールなどの文章に気をつける人も増えたのではないでしょうか。

翻訳者は普段からワードチョイスに敏感です。人に情報を正しく伝えるためには、主語や目的などクリアにしないと曖昧な表現になってしまうし、相手の意図をくみとれず勘違いしてしまうからです。

顔が見えない分、言葉使いや文章の構成は気をつけたほうがいいですね。

グローバルイングリッシュ スタイルガイドの中身

チャプター9つとAppendix4つに分かれていています。

私は1度に読み終わらなかったのですが、Kindle版で読んでいたので簡単に検索でき、楽でした。Appendixは実例集とまとめのように使えるので読み返す時に便利です。

本編の構成はこんな感じです。

Chapter 1: Introduction to Global English

「グローバルイングリッシュ」の概念、なぜ必要なのか、ライターやエディターにとってのメリット、基本的なルールなど。

 

Chapter 2: Conforming to Standard English

標準英語に準拠することについて。

 

Chapter 3: Simplifying Your writing Style

文章の長さや、能動態を意識した書き方について。

 

Chapter 4: Using Modifiers Clearly and Carefully

修飾語句の使い方について。

 

Chapter 5: Making Pronouns Clear and Easy to Translate

代名詞を翻訳するときの注意点など。

 

Chapter 6: Using Syntactic Cues

構文理解の手がかりについて。

 

Chapter 7: Clarifying -ING Words

動名詞を使うときの注意点など。

 

Chapter 8 Punctuation and Capitalization

誤読を防ぐための句読点やダッシュなどについて。

 

Chapter 9: Eliminating Undesirable Terms and Phrases

分かりづらい外国語や古い表現、ラテン語の省略表現を避けることについて。

ボリュームがある本ですが、読み手が理解しやすいようにまず「翻訳しやすい、読みやすい英語」にするために大事なことが網羅されています。

カンマや単語どれをとっても、なぜそれを選ぶのか、分かりやすく筋を通すにはどういう表現を選ぶべきなのかとても参考になります。「わかりやすい英語」にするためには、細かいところまで配慮して組み立てることが改めて大切なことだと感じます。

技術的な内容に限らず、日英翻訳をする方にはとてもおすすめの1冊です。

The Economist Style Guide

画像:Amazon

 

The Economist Style Guide 11 th edition

567円

最新版は12th edition 1,534円 (Kindle 785円)

economist 12画像:Amazon

 

イギリスの週刊誌エコノミストのスタイルガイド

エコノミストは、その文章の質が高いとされ愛読者が多い週刊誌です。日本の英語学習者にも好きな方は多いのではないでしょうか?

イギリス英語というと、少し難解な表現もあるように感じますがウィットが富んでいてとても勉強になります。

このエコノミストのスタイルガイドを読むことで、記事の読解力を高めることができます

ライターがどのように文章を組み立てるのか、質の高い文章の書き方は参考になります。

エコノミスト スタイルガイドの中身

私が持っている11th edition は3つのパートに分かれています。

Part 1: The essence of style

この章の前にあるイントロダクションと合わせて、ザ・エコノミストのスタイル、文章の書き方や編集の極意など。明快な文章とその思考法が分かります。

Part 2: American and British English

英米の表現の違いが分かります。私は留学先がイギリスだったため、自然に身についたのはイギリス英語です。単語のスペルから口語表現、好んで使う文法など、英米の違いを意識しはじめたのは翻訳者になってからなので、このパートは個人的にとても興味深く読めました。

Part 3: Useful reference

ビジネス関連の記事を読む際に、知識として持っていると確実に読解力がアップできるポイントがたくさん掲載されています。

頭文字で省略されている用語リスト(SME:中小企業etc) や、天気予報などで聞く表現(例えば ”strong breeze” は具体的に時速どれくらいかなどの数値)、経済ニュースの関連用語 (例えば “net assets” = 純資産とはどのファクターを組み合わせ、含めたものを指すのか) などは一読の価値あると思います。

まとめ:スタイルガイドに日英翻訳テクニックを学ぶ

日英翻訳には、ターゲット言語である英語のアプトプット力=ライティングスキルを磨くことが大切です。

当たり前ですが、英語ネイティブでもプロは「伝わる英語」を書くために色々なテクニックを駆使して質の高い文章を書いているのです。

そんなプロたちの文章技術を学べるのがスタイルガイドです。

おすすめスタイルガイド

グローバルイングリッシュ スタイルガイド → 読み手に伝わる英語の書き方

エコノミスト スタイルガイド → ワードチョイスや表現のこだわり方

日英翻訳のポイントは、Clear(明確)Concise(簡潔)Correct(正確)。

書く技術を身につけると読解力もあがります。

「読解力」の差で見えてくるものや感じるものも違ってくると思うのです。Economist を読みこなすなら、そのスタイルガイドを攻略本として読むのも有効ですよね。

言葉は変化するので、スタイルガイドはなるべく最新版が良いかとは思いますが、「分かりやすさの追求と表現の美しさ」というのは普遍的なこと。

日英翻訳の勉強にスタイルガイドは便利な参考書になります。是非チェックしてみてくださいね。

The Global English Style Guide』を見てみる!


The Economist Style Guide』を見てみる!

 

 

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ちぇしゃお
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